【E'crylith】基本セット・緑『Green emothional Envy&Villanious』
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強制アタックルールによる激しい戦闘と、妨害や逆転カードによるプレイヤー間の駆け引きがたのしめる、完全オリジナルのダークファンタジー風構築型カードゲームです。 デッキは内容の異なるものが二つ入っておりますので、そのままお友達と対戦するのはもちろん、自分だけのデッキを考えるのもオススメ! 魅力的なイラストはコレクション性もバッチリです。 緑は嫉妬に狂ってしまった「妖精」と、人間に憧れ模倣する「擬虫」のセットです。配置妨害をおこなったり、パワーの操作をおこなったりと盤面を有利にするカードが多いほか、少し風変りなデッキ破壊も楽しめます。幅広い戦略を楽しみたい方におすすめです。 記憶喪失のEvaと一緒に、この世界の真相を究明しましょう。
紡がれるは、「嫉妬」と「悪辣」の物語
イーヴァには記憶がない。ある朝目覚めれば病室に閉じ込められていて、そこで自分が重度の精神疾患を患っていることを理解した。 現実の世界では不自由なイーヴァだったが、『褪色の大地』は深層意識からのアクセスが可能だ。裸足でこうして砂を踏むことができるだけで、彼女は満足だった。 「なんだぁ? スケスケの服着た娼婦みたいなのが歩いているぞぉ? 何のサービスだ?」 髪を逆立て、胡乱な視線を漂わせる男は、彼女と同じ痛み持つ者(ペインター)の証であるカラーボトルを携行していた。 「あの、お尋ねしたいことがあるんです。あなたは、なぜこうして戦うのですか?」 「はぁ? 俺たちはこうして化け物を操る力を得たんだ、楽しまなくてどうする。願いなんて俺にはどうだっていい。弱い奴を徹底的にぶちのめすのは、気持ちいいんだぜ?」 そうですか、と抑揚なく話すイーヴァの口角はわずかに上がっているような気がした。 「簡単に殺しはしねぇ。ちょっとだけ俺と遊ぼうぜ」 男はボトルの液体を地面に垂らすと、そこから半機械化された深紅の巨人を創造する。 しかし、その巨体がイーヴァを襲うことは無かった。 「あなたが妬ましい……です。私は空っぽだから。自分が誰なのか、知らないんです」 彼女の足元からは1本の蔓が伸びていた。無数の茨に包まれたそれの先は鋭く尖り、巨人の頭を貫いている。 「……パブリネ」 イーヴァの足元に広がる若草色の液溜まりから、継ぎ接いだウェディングドレスの女性が現れた。白波のように広がるスカートの裾からは、無数の蔦が地を這っている。 「ふふ、もしかしたらこれがあなたの望む答えなのかもしれないわ。あなたの奥底に眠る狂気……とっても素敵よ」 恐怖に怯え腰を抜かした男の元に蔦が群がった。手、足、指、臓器。蔦はそれぞれが恣に人体を部品のようにを捥ぎ取っていく。 パブリネの柔和な笑みを浮かべるその姿はまるで祝福を祈る女神のように朗らかで、男の処刑を眺めているようには思えない。 「本当は私のことを知っているんでしょう?」 「さぁ? イヴに聞いてみたらいいんじゃないかしら」 イーヴァにとって覚えのない名前を聞かされながら、パブリネは彼女の胸元を指さす。 「あの子が私と契約したのよ」 磨かれたかんらん石の如き双眸は、イーヴァの内にある別の真意を感じ取っていた。